パスカル数理ゼミ
パスカル数理ゼミ

私はデータサイエンスの観点から医療に貢献したいと考えています。 このような考えに至るまでには様々な紆余曲折があったと記憶しています。
 中学高校から大学卒業まで様々な勉強を続けてきましたが、大学での学習で決定的に変化したことは、学習が最適化されたものではなくなったことでした。それは大学受験までの学習と比較すればすぐにわかります。高校の教科書や参考書を手に取ると、その内容がいかに学習者にとって舗装されたもの、整えられたものであるかということに驚かされます。行間を埋める努力をしなくて良いし、理解しやすくするための簡略化もされていて、何を覚えればよいかといった情報の価値の重みづけがはっきりと提示されていることが印象的です。大学受験という文脈においては、それはより顕著なものになります。
 しかし、大学に入学し、自分が何をしたいか、膨大な情報の中で何が重要なものなのか、今学んでいることが将来の自分にとって役に立つかということが不明になったことに面食らいました。医師になるという明確な目標が設定された医学部に入ってもなおその困惑は解消されませんでした。しかし、友人が渡してくれた1冊の書籍(『現代数理統計学の基礎』久保川達也 共立出版)を読んだことが一つの答えを出すきっかけになったと思います。当時面白いとは思いながらも特にそれが何の役に立つかということは考えずに読み進めていましたが、その後、数理統計学が未来の予測や分類、新しいものを生成すること等を可能にするデータサイエンスの根底にあることを知りました。その後、私は工学部や理学部の講義や課題などを通してデータサイエンスに関する知識を広げることに努める中で、教養学部での線形代数や医学部での公衆衛生学といった知識の重要性を認識するとともに、データサイエンスの観点から医療分野に貢献したいという想いが芽生えたと考えています。 このようにどのような学問、仮に自分の職業に直結していないと思われるような学問であっても、なんらかの分野で非常に重要な要素となることや、新たな興味を広げることがある、というのが大学入学時に自分が抱えた憂悶に対する一つの答えだと思っています。
 皆さんも目の前の勉強に対して不安を抱えることがあると思いますが、是非前向きな気持ちでパスカル数理ゼミの先生が言うような数理的な思考の冒険を始めてみてはいかがでしょうか。